[The Golden Bough]
サー・ジェームズ・ジョージ・ブレイザーの著作。松橋歳雄訳。凡頭舎刊。
デューイが幽閉中に読んでいた本。他にホランドやチャールズも読んでおり、各人物の行動原理やアゲハ構想の理念の一角を担ったと考えられる。
1890年から人類学者、J・G・フレイザー(フレーザー)が発表した著書。イタリアのネミ湖湖畔で行われていた慣習を、世界各地に類似して見られる様々な未開社会の風習と比較しながら解明しようと試みる内容。膨大かつ複雑な書物であるので投獄中や入院時の暇つぶしにも適している。
聖なる樹の金枝を手にすることで祭司への挑戦権が得られることはエウレカをめぐる争いと、森の王である祭司を殺害することで祭司職を引き継ぐ制度はノヴァク家の因縁などと重なる。祭司は女神と対になる存在であるという論説は、「対」探しの要素と類似した構造が見て取れる。

NOTE

アール・ヌーヴォー調の装丁イラストはデザインワークス出渕裕によるもの。
ネミの森で崇拝される女神ディアナを聖なる樹と同一視していた点は、代理司令クラスターの樹木のモチーフに繋がるものか。アネモネたちがジョイ・ディヴィジョンにおいてエウレカに似せた容姿に整形されたこと、ヴォダラクの僧やデューイがコンパク・ドライヴを身体に埋め込むことでスカブコーラルを操ろうとする試みなどは、それぞれ本書で解説される「類感呪術」と「感染呪術」を元にした行動ともとれる。
ダイアンの元ネタはこれとは異なるが、女性名としての〈ダイアン〉は樹木と月の女神ディアナの異形名である。
一つの事のために数多くの例証を挙げ記していく『金枝篇』のスタイルは、用語や引用をサンプリング的に盛り込んでいく本作のスタイルと似ているかもしれない。

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  • 王殺し。しかしその王は、
  • 金枝
  • 贄の王
  • ネミの森
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